シラバス参照

 
最終更新日:2021/03/30  

FE13221   物理化学III

3.0 単位, 3 年次, 通年月4
石橋 孝章

授業概要

量子化学の初歩的部分(波動関数の重ね合わせの原理,物理量と演算子の関係,Schrödinger方程式)の復習の後,調和振動子の量子論,時間に依存する摂動法による光と分子の相互作用,二原子分子の核の運動の量子論について述べる。
さらに,多原子分子の核の運動の量子論,分子振動の群論的な取り扱い,赤外・ラマン分光の初歩的な事項について述べる。

備考

「物理化学II((FE12411)」を履修していることが望ましい。2017年度以前に「物理化学III(FE13221)」を履修済みの者は履修できない。2019年度以前に物理化学3A(FE13131)または3B(FE13141)を履修済みの者は履修できない。
対面

授業方法

講義

学位プログラム・コンピテンスとの関係

本科目は,専門コンピテンス「量子化学・分光学分野の知識と理解力,応用力」と主に関係している.汎用コンピテンスの「批判的・創造的思考力」とも関係している.

授業の到達目標(学修成果)

分光学的手法によって分子構造の情報を得るための基礎理論を学ぶ.光と分子の相互作用(吸収,発光,散乱)と孤立分子の回転・振動の自由度に対応するエネルギー準位構造を解説する.

キーワード

光と物質の相互作用(Interactions, between, light, and, matter), 分子回転(Molecular, rotations), 分子振動(Molecular, vibrations)

授業計画

量子化学の初歩的部分(波動関数の重ね合わせの原理,物理量と演算子の関係,Schrödinger方程式)の復習のあと,調和振動子の量子論,時間に依存する摂動法による光と分子の相互作用(吸収,発光),二原子分子および多原子分子の核の運動の量子論について述べる.その後,多原子分子の振動の群論的な分類について解説する.

第1回
1. 量子力学の復習と整理
1.1. ベクトルとしての波動関数
1.2. 波動関数の内積
第2回
1.3. Diracの記法
1.4. ブラベクトルと双対空間
第3回
1.5. 状態ベクトルに関する基本的な関係式
1.6. 線形演算子(linear operators)
第4回
1.7. アジョイント演算子(adjoint operators)
1.8. セルフアジョイント演算子(self-adjoint operators)
第5回
1.9. 線形演算子の固有値方程式
1.10. オブザーバブル(observable)
第6回
1.11. 量子力学的状態と観測
1.12. 運動方程式
第7回
2. 調和振動子(harmonic oscillator)
2.1. ハミルトニアン
2.2. 消滅—生成演算子(annihilator and creator)
第8回
2.3. 調和振動子のエネルギー固有値
2.4. 調和振動子の固有(波動)関数
第9回
3. 時間に依存する摂動法と光と分子の相互作用
3.1. 時間に依存する摂動法
第10回
3.2. 光と分子の相互作用ハミルトニアン
3.3. 誘導吸収と誘導放出
第11回
3.4. 自然放出(spontaneous emission)とA係数
4. 二原子分子の回転と振動
第12回
4.1. 光子のエネルギー,波長,振動数,波数
4.2. 分子の自由度
第13回
4.3. 電子の運動と核の運動の分離
4.4. 二原子分子の核の運動(並進,回転,振動)
第14回
4.5. 時間に依存しない摂動法
4.6. 非調和性,振動回転相互作用,遠心力歪み
第15回
4.7. 選択則(選択律,selection rules)
4.8. ラマン散乱(Raman scattering)
4.9. 核スピンとパウリの原理

第16回
5. 多原子分子の回転
5.0. 剛体の場合の二原子分子の回転と多原子分子の回転の比較
第17回
5.1. 多原子分子の核の動き
5.2. 剛体の回転エネルギーの古典力学
第18回
5.3. 空間固定座標系(XYZ)と分子固定座標系(abc)の関係(Euler角)
5.4. 角運動量の復習
第19回
5.5. 剛体回転子の量子力学的ハミルトニアン
5.6. 剛体回転子の固有関数と固有値
第20回
6. 多原子分子の振動
6.1. 振動の自由度
6.2. 基準振動 (normal vibration)
6.3 古典力学の運動方程式
第21回
6.4. 分子振動の古典力学
6.5. 分子振動の量子力学
第22回
6.6. 振動回転遷移の選択則(電気双極子一光子遷移)
6.7. Fermi共鳴 (Fermi resonance)
第23回
6.8. 振動ラマン分光
7. 群論と分子振動
7.1. 群の定義
第24回
7.2. 対称要素(symmetry elements)と対称操作(symmetry operations)
7.3. 群の表現(対称操作の行列による表現)
第25回
7.4. 既約表現と指標表
7.5. 既約表現の直交性
第26回
7.6. 基準振動と既約表現
第27回
7.7. 調和近似の場合の振動の固有関数の対称性
第28回
7.8. 一光子振動遷移(赤外振動遷移)の選択則
第29回
7.9. 射影演算子
第30回
7.10. 振動ラマン遷移の選択則

履修条件

物理化学II程度の量子力学・量子化学を学んでいること.

成績評価方法

レポート,授業時の小テスト,期末試験を総合的に判断する.

学修時間の割り当て及び授業外における学修方法

復習中心に学習を勧める.数式の変形等は出来るだけ自分で確認する.授業中に理解できなかった点をなるべく具体的にまとめ,参考書等も参照し解決を試みる.その上で未解決の疑問点が残ったら,質問すると良い.

教材・参考文献・配付資料等

全般的な内容については1と4.量子力学については2,光と分子の相互作用については3と4.分子のエネルギー準位構造については,4と5.分子振動の群論的な取り扱いについては,6と7.

1. 物理化学(上)(下)
2. ディラック 量子力学
3. 光と分子(上)
4. Molecular Spectroscopy
5. 分子の構造
6. 応用群論―群表現と物理学
7. Molecular Symmetry

オフィスアワー等(連絡先含む)

木曜日 16:00~18:00

石橋 孝章  
23051152

その他(受講生にのぞむことや受講上の注意点等)

授業中の質問を歓迎する.

他の授業科目との関連

ティーチングフェロー(TF)・ティーチングアシスタント(TA)